にぎやかな日は…






※この話は爽と永都が悠の部屋に来る話です。
 どういうながれでこうなったのかは本編5話参照



 あと3分…。
 悠は時計を30分程前から見ていた。
「あ〜、あのさぁ、邪魔になったら悪いんだけど……さっきから何か待ってんの?時計と睨めっこしてさ」
「ん〜あとちょっとなんだよ」
「だから、何が!!」
 すると、寮の部屋がノックされた。慧が椅子から立ち上がり、ドアに向かおうとすると…
「慧ストップ!!」
 条件反射で体が止まってしまう。その間に、悠が走ってドアまで向かった。
「ど〜ぞ〜」
 悠が中に客を入れる。この部屋に客が入ったのは初めてじゃないのか?と思うほど、この部屋に客人は少ない。
「っ!!爽さん!?」
「フフ。そうだよ、慧。コチラが爽で、こっちは永都」
「ウソ!!永都さんまで!?」
『おじゃましまーす』
「あっ、どうぞどうぞ。ごゆっくりしてってください」
「何、慧。いつもと態度が全然違うじゃん」
「そりゃ、テレビでしか見たことのない有名人がいるんだよ!!」
「ハイハイ」


「爽さん、先日はサインありがとうございます」
「うん。っていうか、同い年だし、敬語じゃなくていいって」
「あ、じゃあヨロシク」
「うん」
「ところで、慧。永都って、僕らの先輩なんだよ」
「え、そうなの!!」
「うん。今、3年なんだ。だから3年棟にいるよ」
「そうなんですか…!!」
「慧、そんなに驚かなくても……って、爽!?何そんなにニヤニヤしてるの!」
「フフフッ。まだ、今はヒミツ♪」
「爽、教えてよ」
「まぁ、後で分かるって」
「もったいぶらずに言っちゃえばいいのに」
「だって、お楽しみなんだから♪」
「しょうがないなぁ…」

 その後僕達は、いろんなことを話して、時間をすごした。…すると、ドアがノックされた。
「おじゃましまーす」
 ……聞き覚えのある声が…。
「あー、来た来た」
「やぁ!!みんな」
「河野さん!!何でココに!!」
 なんと、ドアを開けて入ってきたのは河野さんだった。しかも、"当たり前"のような顔をしていたため、笑いそうになってしまった。
「いや〜、爽が『皆集まってるから来ないか?』って、言ったから、来てみた(笑)」
「いや、来てみたって、子供じゃないんですから!!」
「心はいつになっても子供だよ」
「それより、河野さんって眼鏡かけてましたっけ?」
 永都が聞く。実は僕も気になっていた。今日の河野さんは、赤縁眼鏡をかけていたからだ。
「あぁ、ずっとコンタクトだったんだけどね、眼鏡もいいなぁって思って。どう?似合う?」
「すごい、似合ってますよ」
「そう、良かった〜」
「……悠、誰?」
 隣で慧が聞いてきた。
「あぁ、河野さんは、僕達4人のマネージャーだよ」
「うっそ!!若っ!!」
「え?あぁ、まぁ若いけど…」
「え?あ、失礼ですけど、河野さんって…おいくつですか?」
「え、25だけど…」
「ウソッ!!!18くらいかと思いました!!!!」
 いきなり慧が叫びだすため、その場は一時、シン―‐となった。 「あ、それより、近くのケーキ屋でケーキ買ってきたから、皆で食べようよ」
 河野さんが、いきなり話題を変えた。――それは、場の雰囲気を考えてのことなのかは、イマイチ分からないが…。 「そうですね。僕、紅茶入れてきます」
 僕は、椅子から立ち上がって、紅茶を入れにいく。
「近くのケーキ屋って、このまえ俺が言ってたトコですか!?」
「爽が言ってたとこだよ。おいしいって、言ってたから、買ってきた」
「ホントですか!!あそこ、本当においしいんですよ」
 爽が感動している横で永都が割って入ってくる。
「何ケーキがありますか?」
「えっと、ショートケーキにチョコケーキ、ベリーケーキにレアチーズケーキ、そしてプリン」
「何で、1つだけプリンなんですか…?」
 慧が問う。
「俺が食べたかったから!!」
 その瞬間、そこにいる誰もが、"河野さん"だな、と実感した。もちろん、会ったばかりの慧でさえも。
「ほら、紅茶できたから、皆で食べましょうよ」
 僕は、その空気をぶち壊して言う。 「…そ、そうだな。ケーキを選ぼう。ジャンケンで勝った人から選べる…でいいか?」
 永都が皆に同意を求めた。そんななか、河野さんだけが、プリンを持って満足そうに眺めていた。
『じゃんけんぽん』
 一番目に勝ったのは、永都だった。その次が爽。そして僕で、慧という順番だった。
「勝った〜!!じゃあ、俺レアチーズな」
「レアチーズときたか…。じゃあ、ベリーケーキも〜らいっ」
「あ!爽、ベリーケーキとった!!じゃあ、ん〜…迷うな。ショートケーキか、チョコねぇ」
「迷ってるなら、チョコも〜らいっ」
「あっ!!ちょっと、慧。僕が勝ったでしょ!!」
「迷ってるってことは、どっちでもいいんじゃないのか?」
「…はぁ、慧ってホント、変なとこだけ脳みそ働くよね」
「別にいいんじゃないですかー」
 とか言いながら、もう皆食べてるし…。しかも、河野さんもう食べ終わってない!?……何このまとまりの無いメンバー……。
「いただきます…」
皆を横目に見ながら、一人黙々とショートケーキを頬張る。
「ん!!おいしいっ」
「だろ?ここのケーキは何でもおいしいんだよ」
「ケーキだけじゃなくて、プリンもおいしいよ」
 爽が話しているところに、河野さんが割って入ってくるので、ちょっと爽がいらついている。
「なんで、ケーキ屋さんに行って、プリンを買うんですか!」
「だって、プリン好きなんだもん」
「でも、せっかくおいしいケーキ屋なのに、なんでわざわざプリンを買うんですか、って聞いてるんです!!」
「別にいいじゃん」
 二人は、いつまでもケンカしてそうだったので、誰かが止めようということになった。
「永都止めてよ」
「ヤダ。悠が止めればいいだろ」
「じゃあ、慧が」
「俺、まだ二人のコト、分かってないし…」
「別に大丈夫だろ」
「うん。大丈夫だよ、慧。二人のことしらなくても、とめられるよ!」
「おいおい。二人して、"行けよオーラ"だすなって…」
「まぁ、ヨロシク頼むよ」
「………ったく。しょうがないなぁ…」
「さっすが慧!!」

「あ、あの〜。お話の最中、悪いんですけど……、せっかく皆さん、ココに遊びに来たんですから、皆で何かしません?」
「そ、そうだよ!爽も、河野さんもケンカなんかしてたら、それだけで終わっちゃいますって」


「今日は、楽しかったよ!誘ってくれてアリガトー」
 あの後、僕達は、いろんなことをした。ゲームをしたり、語り会ったり。そうしているうちに、河野さんと爽の機嫌もよくなった。
「河野さんこそ。ケーキご馳走様」
「礼には及ばないよ」
「じゃあ、また遊ぼうね」
「今度は、河野さん家に行かせてくださいよ〜」
「そうだね。考えておくよ」

 そうして、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。

「悠、皆いい人達だな。芸能人って、もっと気取ってるかと思った」
「そうだね。思っているより、全然近い存在なんだよね」
「うん。悠が、誰かの家に誘われたら、俺も連れてけよな」
「ハイハイ。分かってますよ」

 そうして、夜は更けていった。




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